―「優しさ」は巡り、やがて自分に還ってくる―
はじめに
人は社会的な生き物です。
だからこそ、日々の中で交わす小さなやり取りや視線、
そしてほんの一瞬の「思いやり」が、私たちの心に想像以上の影響を与えています。
でも、現代は忙しく、効率が優先されがち。
スマホの画面を見つめながら移動し、必要最低限のやり取りだけを交わして一日が終わる…。
そんな毎日の中では、「気遣い」という行動が意識の外へ追いやられてしまいます。
今日は、その見過ごされがちな「些細な気遣い」について、
そしてそれがなぜ幸福度を高めるのかを、深く掘り下げてみます。
1日ひとつ、いいことをする
心理学では「ヘルパーズ・ハイ」という言葉があります。
これは、人に親切をしたあとに感じる高揚感や幸福感のこと。
それは脳内のドーパミンやセロトニンが分泌されることで生まれる、
科学的にも裏付けられた「優しさの報酬」です。
例えば、こんな瞬間。
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エレベーターで階数を尋ねて押してあげる
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重い扉を押さえて、後ろの人が通りやすくする
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道で落ちたハンカチを拾って手渡す
どれも数秒で終わる行為ですが、その直後に返ってくる「ありがとう」の笑顔は、
想像以上に心を満たします。
それは単なる礼儀ではなく、「あなたの存在を認めています」というメッセージだからです。
大きなことではなく、些細なことでいい
多くの人は「親切」というと、時間やお金、労力を大きく割くイメージを持っています。
でも、それでは続きません。
幸福度を上げるための親切は、ほんの少しでいい。
重要なのは「相手に気づく」ことと「ためらわず動く」ことです。
その瞬間のささやかな行動が、人と人との距離をやわらかく縮めます。
そして、不思議なことに、自分が誰かを助けた記憶は、
受け取った本人以上に、自分の中に温かく残ります。
親切を受け取るときも
逆に、あなたが誰かに親切を受けたとき。
その時は遠慮せず、心からの「ありがとうございます」を返しましょう。
社会心理学では、「感謝はポジティブな感情を伝染させる」と言われます。
感謝を言葉にすると、自分の幸福度も上がり、相手の幸福度も同時に上げることができる。
まるで投げたボールが跳ね返ってくるように、優しさは循環します。
自分のための親切
一見、親切は「相手のため」にするもののように思えますが、
実際は「自分のため」にこそ有効です。
カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究によると、
「小さな親切を日常的に行う人は、幸福度や自己肯定感が高まる」ことが分かっています。
これは、自分が他者の役に立てたという「他者貢献感」が、
人間の根源的な欲求である「存在意義」を満たすからです。
つまり、些細な気遣いは、自分の心の健康を守るための習慣でもあるのです。
まとめ
些細な気遣いは、特別な才能もお金も必要ありません。
ただ「相手を思う気持ち」と「少しの勇気」だけ。
その一歩は相手のために見えて、実は自分のため。
優しさは、巡り巡って必ず自分のもとに戻ってきます。
だから、まずは明日から「1日ひとつ、いいことをする」を意識してみませんか。
それが、あなたの毎日を確実に温かく変えてくれるはずです。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉