購入に“納得したがる”心理

購入に“納得したがる”心理

 

── 人は、選択のあとに物語をつくる。


買ったあとに、なぜか不安になる

 

欲しかったものを買った瞬間は、満足しているのに、

家に帰ってふと冷静になると、「本当にこれでよかったのかな」と不安になる。

SNSで同じ商品を検索して、他の人のレビューを読み漁ったり、

「やっぱり評判いいな」と安心してみたり。


この“小さな確認作業”を、私たちは無意識にやっている。

それはきっと、買い物そのものよりも、

「自分の選択に間違いはなかった」と信じたい気持ちのあらわれだ。





“納得”は、後からつくるもの


買う前は、あれこれ比較して“正解”を探そうとする。

でも、買ったあとは“納得の物語”を自分の中につくっていく。

つまり、選択には「合理的な理由」だけでなく、

「感情の後づけ」も含まれているのだ。


たとえば、少し高い服を買ったとき、

「これは長く使えるから」「自分らしいデザインだから」

と理由を探して、自分を納得させようとする。

それは、後悔を防ぐための“心の防衛反応”でもあり、

同時に、人が自分の選択に意味を見出そうとする

とても人間的な営みでもある。





“選んだ自分”を好きでいたいから


よく考えてみれば、納得したい気持ちは、

「選んだ自分を信じたい」という感情でもある。

何かを選ぶという行為は、同時に“他の可能性を手放す”ということ。

だからこそ、人は選択のあとに、

自分が手放したものよりも“今の選択が良かった”と思いたいのだ。


その小さなプライドが、私たちを支えている。

それは決して悪いことではなく、

むしろ、自分を肯定しながら生きるために必要な力なのかもしれない。




 


「正解」より、「愛着」を育てる


時間が経つうちに、

“納得したい”という感情は、“愛着”に変わっていく。

買ったものに触れるうちに、

その小さな欠点さえも、個性として感じられるようになる。


つまり、買い物の本当の価値は、

“買った瞬間の満足”ではなく、“使いながら育つ納得”にある。

モノとの関係も、人間関係と同じで、

少しずつ理解していく中で、愛が生まれていくのだ。





選ぶたびに、私たちは少し成長している


“納得したがる心理”は、

不安の裏にある「自分を信じたい」という願いの表れ。

だからこそ、買い物を通して私たちは、

自分の感性や価値観を少しずつ確かめているのかもしれない。


正解を探すよりも、

「この選択を、自分の中で正解にしていく」こと。

それが、本当の意味での“納得”なのだと思う。


 

 

 

 

それではまた明日──

 

SOWN 代表

片倉

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