「なんだか最近、考えが凝り固まっている気がする」
「アイデアが出ない」「仕事に追われて思考が停滞している」
そんなとき、必要なのは“もっと頑張ること”ではなく、
脳の使い方を少し変えてみることかもしれません。
論理的に考え、情報を整理し、計画を立てる──
それはとても大切な能力ですが、もし日々の思考がそのモードに偏りすぎているとしたら?
視野は狭くなり、心の柔らかさや創造性が失われていく感覚に襲われることも。
そんな時こそ、右脳の出番です。
右脳は、「感じる」「ひらめく」「想像する」脳。
感性や直感を司るこの領域を育てていくことは、クリエイティブな発想力を高めるだけでなく、
柔軟な思考ができたり、感情に気づきやすくなったり、人とのコミュニケーションにも深みが出てくる。
今回は、右脳をじんわり刺激し、感性をやさしく育ててくれる5つの趣味をご紹介します。
1|ただ歩く。ただ感じる。「散歩」の力
“ただ歩く”──これほどシンプルで、これほど深い感性のトレーニングはありません。
スマホを見ず、イヤホンも外し、五感を開いて歩く。
街の風の匂いや温度、季節の色づき。
普段なら通り過ぎてしまう景色の中に、右脳を刺激する“微細な美しさ”が息づいています。
歩くことで脳がリズミカルに刺激され、直感や発想が湧きやすくなることも科学的に実証されています。
さらに、「移動する」という行為そのものが、心の状態を切り替えるスイッチにも。
忙しさで思考が詰まった時、言葉にならない気持ちを抱えた時、
まずは外に出て、ただ歩く。
それは、頭で考えるのではなく「感じる自分」に戻るための、小さな再起動です。
2|“余白”に心を預ける「読書」という感覚体験
読書は、想像力のための筋トレ。
映像とは違い、物語の背景や登場人物の表情、温度や光までも、自分の脳内で“創り出す”必要があります。
特に小説や詩には、言葉と言葉のあいだに“余白”がたっぷりあります。
そこに心を委ねることで、右脳はのびやかに動き出し、自分だけの世界が立ち上がっていく。
読み進めるうちに、気づいたら誰かの人生を生きていたり、
自分の感情が静かに揺さぶられていたりする──
この没入感が、創造性や共感力を育ててくれるのです。
特におすすめは、普段読まないジャンルに触れること。
新しい視点に出会うことも、右脳にとって大きな刺激になります。
3|思考と感情をつなぐ「ジャーナリング」
現代において、「自分の本音と静かに向き合う時間」はとても貴重です。
ジャーナリングとは、毎日の思考や感情を紙に書き出す習慣のこと。
日記と似ていますが、目的は記録ではなく、“気づき”。
書き出すことで、モヤモヤしていた思考が整理され、言語にならなかった感情に光があたる。
その過程は、まるで心の奥底に潜っていくような行為です。
たとえばこんな問いから始めてもいいでしょう:
-
今日、気になったことは?
-
今、不安に感じていることは?
-
なぜそれが嬉しかったのか?
大切なのは、うまく書こうとしないこと。
右脳は、感情を感じ取る領域です。
思考ではなく“感覚”を頼りに手を動かすことで、左脳と右脳の架け橋が生まれます。
1日3分でもいい。
「紙の上で自分に出会う」この時間は、感性を耕し、思考のしなやかさを取り戻してくれるはずです。
4|“考える”ではなく、“感じる”──楽器を弾くという行為
楽器を演奏する時間は、まさに“脳が沈黙し、心が動き出す”ような感覚。
手や指の運動と音の響きを通じて、言葉では届かない感情を解放することができます。
右脳が優位になるこの行為では、思考よりも「音の揺らぎに身を委ねる力」が問われます。
うまく弾くことよりも、音を“感じる”ことが何より大切。
一音一音が、自分の内面と静かに響き合う時間になります。
ピアノでもギター、打楽器でも。難しければ歌を歌うでもOK。
音楽の技術ではなく、「音との対話」を楽しむ感覚で始めてみてください。
右脳は、練習のような反復の中にも美しさを見出します。
だからこそ、楽器演奏は“集中しながら、リラックスする”という、ユニークな状態を生み出してくれるのです。
5|「コラージュ」で、言葉にならない想いをカタチにする
雑誌や写真、印象的な言葉の切り抜きを、自由に貼り合わせていく「コラージュ」。
これは右脳の感性をダイレクトに使う、創造的なアートセラピーでもあります。
構成にルールはなし。
イラストやスケッチだとハードルが高く感じますが、コラージュでは綺麗にまとめる必要はありません。
大切なのは、「なんとなく惹かれるもの」を選ぶこと。
選び、配置し、形にしていく過程で、自分でも気づかなかった感情や価値観に出会うことがあります。
ビジュアルと言葉を融合させるこの作業は、視覚的直感(右脳)と意味づけ(左脳)のバランスを自然に整えてくれます。
「今の私は、どんなものに惹かれているのか?」
そんな問いを、コラージュはやさしく、視覚的に答えてくれるツールです。
感性は、ビジネスにも効く“静かな筋力”
感性や創造性は、決してアーティストだけのものではありません。
言葉にならない空気を察する力、他人の心を想像する力、
状況に応じて柔軟に発想する力──
そのすべての土台にあるのが、“右脳の力”です。
右脳を育てることは、結果として左脳の働きを補完し、
バランスの取れた思考や、深い共感力を生み出すことにもつながっていきます。
日常に、ほんの少しの“右脳の余白”を。
それが、思考と感情が響き合う、生き方の美しいリズムを育ててくれるはずです。
あなたの1日に、ほんの少しの"彩りを"──
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉