──「続けること」より大事な、“合う場所”の話
はじめに
最近よく目にする「退職代行」という言葉。
あるいは、「新卒3年以内での転職は当たり前」といったフレーズも。
かつては一つの会社で長く勤めることが“正解”とされていましたが、今は少しずつ考え方が変わってきています。
新卒で入った会社を数年で辞める。転職を前提にキャリアを考える。
そうした選択も、もはや珍しいことではありません。
では、数年で会社を辞めることは「悪いこと」なのでしょうか?
今日はこのテーマについて、少しだけ言葉を紡いでみたいと思います。
「正しさ」を決めるのは、自分
まず大前提として、「数年で辞めることは正しいのか?」という問いに絶対的な答えはありません。
なぜなら、働く環境や業種、職種によって、必要とされる時間や成長のスピードが全く違うからです。
1年で即戦力になれる仕事もあれば、3年かけてようやく一人前とされる仕事もあります。
そして何より、「その会社で働き続けることが、今の自分にとって心地よいかどうか」こそが、一番の判断基準になります。
私たちはそれぞれ違う環境に生き、違う価値観を持っている。
だからこそ、自分にとっての“正しさ”を、自分で見つけていいのです。
「石の上にも三年」は、絶対じゃない
よく、「どんな職場でもとりあえず3年は我慢したほうがいい」と言われます。
もちろん、続けることで見えてくることがあるのも事実です。
でも、私はこの考え方を絶対視する必要はないと思っています。
たとえば、社会人1年目と3年目では、大きな成長の差があります。
けれど、10年目と13年目では、そこまで大きな変化は起こらないことが多い。
つまり、**最も成長できるタイミングは「最初の数年」**に集中していて、
逆に、自分に合わないと感じながら何年も在籍し続けることは、
その成長機会を逃してしまうことにもなりかねないのです。
自分の“タイプ”に合っているかを見極める
少しポケモンの話をさせてください。
もしあなたが“水タイプ”なら、今の職場で「ハイドロポンプ」を覚えられるかもしれません。
だけど、もしあなたが“炎タイプ”で、水ばかりの環境にいたら…?
それは、せっかくの強みが発揮できず、スキルも伸ばしにくくなってしまう。
つまり、自分の特性に合った場所を選ぶことは、長い目で見てとても大切なことなのです。
環境によって、自分の伸びしろや得意分野は大きく変わる。
「この場所で、自分は成長できているか?」
その問いを、定期的に見つめてみてください。
「やばい会社」も、実際ある
もちろん、「合う・合わない」以前の問題として、本当にひどい職場も存在します。
私自身、新卒で入った会社ではかなりつらい経験をしました。
担当しているプロジェクトの進捗がチーム内で共有されなかったり、
新人だからという理由で意見すら求められなかったり。
年上の社員からプライベートを詮索されたり、外見に関するコメントを受けることもありました。
そんな毎日に、心がすり減っていたのを覚えています。
今思えば、退職代行があればすぐにでも使っていたかもしれません。
「どこにでも合う会社なんてない」と言われることもありますが、
それでも、「ここにいてはいけない場所」は、確かにあるのです。
辞めることは、逃げじゃない
辞めるという選択をしたとき、
「逃げてしまった」と感じることがあるかもしれません。
でも、それは違います。
むしろ、自分に合わない場所から抜け出し、
自分らしく働ける環境を探すことは、とても前向きで勇気のある行動です。
立ち止まって、考えて、自分のために一歩を踏み出す。
その行動は、きっと次のあなたを育ててくれます。
まとめ──「い続けること」よりも、「変わり続けること」
会社を数年で辞めることに、罪悪感や不安を感じる人は少なくありません。
でも、人生の主役はあくまで“自分自身”です。
「今の自分にとって、その環境が最適かどうか」
この問いに、素直に耳を傾けること。
そして、必要ならば新しい場所を選ぶ勇気を持つこと。
キャリアは一本道ではなく、“軌道修正”の連続です。
変わり続けること、選び直すこと。
そのすべてが、あなたらしい人生の一部になりますように。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉