── 「なんとなく良い」を伝える技術
デザインの仕事をしていると、
必ず求められることがあります。
デザインを説明すること。
上司や他部署、時には営業や企画の人に対して、
「なぜこのデザインなのか」を説明しなければならない。
そのとき必要になるのが、
ロジカルな言葉です。
デザインは、すべてロジックではない
とはいえ、デザインは
すべてを論理で説明できるわけではありません。
このシルエットが美しい。
このラインが気持ちいい。
このバランスが整っている。
そう感じる瞬間は、
多くの場合感覚から生まれています。
だから本音を言えば、
「なんとなく、この形が一番いい」
そんな判断も、実際には少なくありません。
でも、仕事の場では
それでは通用しない。
そこで必要になるのが、
感性を言葉に変換する力です。
感性をロジックに翻訳する
たとえば、私が扱っている腕時計の場合。
ただ「かっこいいから」ではなく、
こう言い換えます。
・薄く見せるために、シャープな造形にしている
・コンパクトに見せるために、仕上げをポリッシュにしている
・腕にフィットさせるために、ケース形状をカーブさせている
もちろん、最初のきっかけは
「この形が美しい」という感覚だったかもしれません。
でも、それを
機能や意図の言葉に翻訳することで、
他の人にも共有できるようになる。
言語化すると、デザインは強くなる
面白いのは、
感性を言葉にした瞬間、
デザインの説得力が一気に上がることです。
なぜその形なのか。
なぜその仕上げなのか。
なぜそのラインなのか。
理由が見えると、
周囲は納得しやすくなる。
そして何より、
自分自身の判断もクリアになる。
感性と言語は、対立しない
時々、こう考える人もいます。
感性は感性。
ロジックはロジック。
でも実際は、
この二つは対立するものではありません。
感性が生み、
言語が支える。
その往復の中で、
デザインは磨かれていく。
問い
あなたの「なんとなく良い」は、
言葉にできますか。
感性は、とても強い力です。
でも、言葉にならなければ
共有することができない。
感性の言語化とは、
センスを説明することではなく、
センスを伝わる形にする技術なのかもしれません。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉