はじめに|「仕事って、楽しいもの?」
「仕事、楽しいですか?」
何気なく聞かれると、ドキッとする問い。
一見シンプルだけれど、その裏にはたくさんの「前提」や「理想像」が隠れている気がします。
朝起きて、出勤して、仕事をこなして。
そんな毎日の中で「楽しい」と思える瞬間がどれくらいあるか、自分でもはっきりと答えられないことがあるのではないでしょうか。
そもそも、“仕事の楽しさ”って何なんでしょう。
「やりたいことをやれている」状態?
「成果が出ている」状態?
「人間関係がうまくいっている」状態?
今回は、そんな“見えづらい楽しさ”を、少しずつ紐解いていきたいと思います。
3パターンの「働く気持ち」
人それぞれ、仕事に対するモチベーションや楽しみ方は異なりますが、大きく分けて3つのタイプに分類できると感じています。
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働いている時間そのものが楽しい
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不安と喜びの組み合わせ
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不満と解放の組み合わせ
どれが良い・悪いということではなく、どの状態が「自分らしくいられるか」「納得感があるか」が大切。
それぞれのパターンを見ていきましょう。
1|働いている時間そのものが楽しい
このタイプは、いわゆる「仕事=趣味」に近い状態。
仕事をしている時間そのものに没頭できて、やっていて苦にならない。
むしろ、夢中になって時間を忘れてしまうような感覚です。
たとえば、
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お菓子づくりが大好きでパティシエになった人
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人と話すことが好きで接客業をしている人
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絵を描くのが好きでイラストレーターになった人
“好きなことを仕事にできた”人たちに多く見られます。
とはいえ、毎日が完璧に楽しいわけではありません。
どんなに好きなことでも、ルールに縛られたり、納期やクオリティへのプレッシャーがかかれば、つらい瞬間もあります。
“仕事として続ける”ということは、好きなことを「義務」の中でも愛せるか、ということなのかもしれません。
2|不安と喜びの組み合わせ
"仕事が楽しい"と言える人の中で
最も多いのがこのタイプではないでしょうか。
たとえば、
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クライアントへのプレゼン前の不安
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上司のリアクションが読めない企画出しの緊張感
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提案が通らなかった時の落ち込み
そうした“小さな不安”や“挑戦”を乗り越えた先に、
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成果が出た嬉しさ
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仲間と喜びを分かち合う時間
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自分の成長を実感できる瞬間
──が待っている。そんな循環の中で、「仕事って楽しいかも」と感じる。
筆者自身も、新しい提案を出す時には不安がつきものです。
「これ、本当に大丈夫かな」と思いながらも、
思い切って出したコンセプトが通ったときには、何にも代えがたい達成感がありました。
“楽しい”とは、何もストレスがない状態ではなく、
ストレスの先にある喜びにちゃんと辿り着けたかなのかもしれません。
3|不満と解放の組み合わせ
このタイプの人も決して少なくありません。
日々の仕事の中で、
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上司の指示に納得できない
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自分の意見が反映されない
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ルーティン業務にやりがいを感じない
そんな“不満”を抱えながらも働き続ける。
そして、金曜日の夕方、プロジェクトが終わった瞬間、長期休暇に入るときなど、“ようやく解放された”と感じる。
この状態では、「仕事そのものが楽しい」とは言えません。
もちろん、誰しも一時的にこのフェーズに入ることはあります。
でも、長期的にこの状態が続いているなら、少し立ち止まって考えてみることが必要かもしれません。
不安を取りに行くことが、“楽しさ”を生む
3つの中で、1の「常に楽しい」は理想的だけれど、持続させるのが難しい。
3の「不満と解放」は、自分をすり減らすリスクがある。
だとしたら、2の「不安と喜びの組み合わせ」が、もっとも現実的で健やかな“仕事の楽しさ”なのではないでしょうか。
つまり、“不安がない”状態を求めるよりも、
「不安を自ら取りに行く」姿勢が、結果的に楽しい仕事をつくっていくのです。
挑戦こそが、仕事を楽しくするスパイス
「不安を取りに行く」というと、大きな挑戦を想像するかもしれません。
でも実は、ほんの小さなことでいいのです。
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新しいアイデアを1つ加えてみる
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苦手な取引先とのやり取りを前向きに工夫してみる
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プレゼンで少しだけ自分の感情を込めて話してみる
そんな一歩が、あなたの中に眠っていた“仕事の面白さ”を少しずつ目覚めさせてくれます。
挑戦があるからこそ、仕事にドラマが生まれる。
そこには、小さくても確かな成長と、未来への可能性が詰まっています。
まとめ|楽しい仕事は、自分で育てていくもの
「仕事が楽しい」とは、
常にテンションが高い状態でも、毎日ワクワクしていることでもなく、
挑戦をして、苦しみもあるけれど、最後にちょっと報われる
そんな経験を積み重ねていくことなのかもしれません。
不安を避けるのではなく、選び取る。
その先に、あなたにとっての“本当の仕事の楽しさ”がきっと待っています。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉