“消費しているだけ”の時間？
私たちは、日々たくさんのコンテンツを消費しています。
YouTube、アニメ、ゲーム、SNS…。
気づけば、誰かが作った世界の中で、何時間も過ごしてしまう。
現代ではそんな時間を“浪費”と呼び、
「その時間を勉強に使おう」「自分を高めよう」という意識が広がっています。
確かに、努力の時間は大切です。
でも、あらゆる時間を“生産性”で測るようになると、
私たちは、呼吸をするような「好き」の感覚を見失ってしまう気がします。
すべての時間を、未来のために使う必要はない
未来の自分を磨くための時間。
それと同じくらい、いまの自分を潤す時間も必要です。
漫画の世界に浸る。
映画の余韻に酔う。
推しの動画を見て、ただ笑う。
それらは、何も生まれないようでいて、
確かに心を癒している。
感動したり、共感したりする瞬間は、
いつかあなたの「つくる力」や「話す力」に、静かに還元されていくはずです。
消費からしか、生まれないものもある
私たちは“創る人”を尊敬し、“消費する人”を下に見がちです。
けれど、創るためには、まず受け取る力が必要です。
美しい音楽を聴いた経験がなければ、
誰かの心を震わせる音を奏でることはできません。
優れた物語に触れた経験がなければ、
人の感情を動かす言葉は書けません。
“消費”は、“創造”の前提です。
どんなクリエイターも、かつて誰かの作品の影響を受けている。
だからこそ、コンテンツ消費の時間は、心の中で静かに「次の種」を育てているのだと思います。
無駄な時間を、誇れるように
大切なのは、“何を見ていたか”よりも、
“どんな気持ちで見ていたか”。
ぼんやり流すだけでは何も残らないけれど、
「なぜ好きなんだろう」「この表現が刺さるのはなぜだろう」と
少し立ち止まって感じてみるだけで、
その時間は“感性を育てる時間”に変わります。
人生のすべてを目的化しなくていい。
無駄に見える時間を愛せる人は、
たぶん人生の豊かさを知っている人です。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉
