■はじめに
今日は、現在インハウスデザイナーとして会社に勤務しながら、
個人クリエイターとしても活動している筆者の視点から、
**「会社内のデザイナー」と「個人クリエイター」**の違いについて書いてみたいと思います。
■インハウスデザイナーとは?
あまり聞きなれないかもしれませんが、「インハウスデザイナー」とは、
企業の中に所属し、その会社の製品やブランドのデザインを担当する人のことです。
たとえば、自社製品の外観やパッケージ、グラフィック、ブランドイメージなど、幅広く手がけます。
ただし、企業という組織の中では当然、デザインの承認フローが存在します。
多くの場合は以下のような多段階の承認が必要です:
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ディレクター
 - 
上司
 - 
部長
 - 
商品企画部
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マーケティング部
 - 
部門長 など
 
■良い点
企業規模にもよりますが、自分が関わった商品が世界中で販売されたり、
非常に大きなプロジェクトに携われたりするのは大きな魅力です。
個人では到底できないスケールのものづくりが可能になります。
■悪い点
反面、承認フローが多く、自分の提案したデザインがそのまま通ることは少ないです。
修正の指示が何度も入り、時には納得のいかない変更もあります。
残業が増えたり、上司の一言で方向転換を余儀なくされることもあり、
デザイナーとしての「自由」は制限されがちです。
■個人クリエイターの場合
一方、SOWNのように個人でブランドを立ち上げ、デザイン・制作・販売までを一貫して行う働き方もあります。
最初は自己資金で制作・出展を行わなければならないため、
大きな開発投資や量産は難しく、小ロットでの展開や慎重な戦略が必要です。
■良い点
それでも、「自分が作りたい」と思ったものを、自分のタイミングと方法で世に出せるのは、何物にも代えがたい喜びです。
世界観やブランディング、価格設定まですべてを自分で決められるため、
クリエイティブに対する満足度は非常に高いです。
また、会社とは異なり、
「商品デザイン」・「パッケージ」・「プロモーション」などが完全に分業ではなく、全部自分で手がけられるため、
作品に対する一体感や責任感も自然と強くなります。
■最も大きな違い:「お客様と直接関われるか」
私が個人クリエイターとして活動していて、最も大きな違いだと感じたのがここです。
会社では、商品が売れるまでには:
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営業部によるプレゼン
 - 
店舗スタッフによる接客
 
といったプロセスを経て、ようやくお客様の手に渡ります。
デザイナーは最終的に誰が買ってくれたのか、どう思ってくれたのか、直接知ることができません。
しかも、次々と新しい案件がやってきて、気づけば「自分の担当した商品が、もう発売されていた」なんてことも。
■一方で、個人では
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イベントで直接お客様と会える
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SNSやストアを通じて感想が届く
 - 
「素敵」「かわいい」といった声を直に聞ける
 
これらは、個人クリエイターならではの経験です。
誰かが自分の作品を手に取り、感動してくれたり、感謝のメッセージをくれる。
この感動は、何にも代えがたい喜びです。
■どちらにも、良いところがある
もちろん、インハウスデザイナーにも、個人クリエイターにも、
それぞれのやりがいや苦労があります。
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大規模なプロジェクトを動かせるインハウスデザイナー
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全工程に責任を持てる個人クリエイター
 
どちらが優れているという話ではなく、その人に合ったスタイルがあるというだけだと思います。
■両方やっているからこそ、活きるもの
私は、インハウスデザイナーと個人クリエイターを並行して行っているからこそ、
お互いの仕事に活かせることがあると感じています。
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会社で培ったプロセスや品質意識は、個人事業でも活きる
 - 
個人活動で得たリアルな声や感覚は、会社のデザインにも影響を与える
 
両方の視点を持つことが、私にとっては大きな財産です。
■まとめ
「会社のデザイナー」と「個人クリエイター」は、立場も責任も違います。
けれど、どちらも“誰かのために何かを作る”という点では、同じです。
自分がどんな環境で、どんなやり方で、何を届けたいのか。
その軸さえ見失わなければ、どちらの道も、深く面白いものになるはずです。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉