なぜ私たちは“対称性”に安心し、”非対称”に惹かれるのか

なぜ私たちは“対称性”に安心し、”非対称”に惹かれるのか

 

 

私たちが「美しい」と感じるもののなかには、

矛盾する2つの感覚があります。


・左右対称は安心する

・でも完全すぎる対称性は、やがて退屈になる


そして、

・非対称はどこか魅力的

・でも崩しすぎると不安になる


この「安心と刺激のバランス」こそ、

人が美しさを感じる仕組みの深いところにあるものです。

 

 

 

 

 


なぜ人は“対称性”に安心するのか

 


実は、対称性への好みは 生物としての本能 に近い感覚です。


自然界で、左右が大きく崩れたものは

“ケガをしている”“弱っている”などのサインを含むため、

人は無意識に整ったものを「安定」「安全」と認識します。


だから私たちは、

 

  • 整った顔立ち

  • まっすぐ並んだ家具

  • 左右対称の建築

 


こういったものを見ると、

なんとなく落ち着いた気持ちになるのです。


対称性は言わば、

「心の地盤を整える役割」 を持つ美しさ。

 

 

 

 

 


では、なぜ非対称に“惹かれて”しまうのか

 


対称性に安心するのに、

人はどうして非対称に魅力を感じるのか。


ここには、

“予測できないものへの好奇心”

が深く関係しています。


非対称には、

 

  • どこか引っかかる

  • 視線が留まる

  • 想像が動く

 


こうした「刺激性」があり、

脳にちょうどよい揺らぎを生みます。


ずっと見ていたくなる絵画やオブジェの多くは、

完璧ではなく、少しだけ崩されています。


つまり非対称は、

心に“物語”を生む形 なのです。

 

 

 

 


安心 × 刺激のバランスが、美意識を決めている

 

美しいデザインは、

この 対称と非対称の間の“絶妙な位置” にあります。

 

  • 完全に整いすぎると、味がなくなる

  • 崩しすぎると、不安になる

 


この真ん中にある、

「ちょっとしたズレ」「わずかな違和感」

が、人を惹きつけます。


ミニマルデザインが退屈に見えるのも、

アートが時に心地よいのも、

実はこの仕組みで説明できます。


だからこそ美意識とは、

“どれくらい整えて、どれくらい崩すか”

その匙加減を見極める力のことなのかもしれません。

 

 


 

 

 

美しさは「完璧と不完全の間」にある


私たちが美しいと感じる瞬間は、

いつもこの二つの境界にあります。

 

  • 安心できるほど整っている

  • でも、どこかひとつ予測できない

 

その“ちょうどよさ”を見つけたとき、

デザインは美しさとして立ち上がります。


対称性と非対称性は、

どちらが正しいという話ではありません。


静けさと揺らぎ

規則と遊び

安定と冒険

 

そのどちらも、

私たちの感性には欠かせない要素なのです。

 

 

 

 

 

それではまた明日──

 

SOWN 代表

片倉

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