はじめに
昔のアルバムを見返したときや、友人と学生時代の話をしているとき、「あの頃は楽しかったな」と感じた経験はありませんか?
しかし、当時の自分を思い返すと、勉強や人間関係、将来の不安などで悩んでいたことも多かったはずです。
それでもなぜ、過去は「輝いていた時間」として記憶されるのでしょうか。
思い出の美化は「心の防衛反応」
心理学的にいうと、人は嫌な記憶を薄れさせ、良い記憶を強調する傾向を持っています。
これは、自分の人生を肯定的にとらえるための「心の防衛反応」と考えられます。
もし過去の失敗や後悔ばかりが鮮明に残っていたら、前に進むことができません。
だからこそ脳は、辛かった部分よりも「楽しかった出来事」を強調して記憶しようとするのです。
「過去=安心」の効果
もう一つの理由は、「過去には不確実性がない」ということです。
未来にはまだ起きていない不安やリスクが伴いますが、過去はすでに終わったもの。
思い返せば、結果的に「乗り越えられた経験」になっているため、安心して懐かしむことができるのです。
過去が“美しく”見えるのは、未来の不安と比較したときに、過去が安全に感じられるからでもあります。
筆者の体験談
私自身も、学生時代を思い出すと「部活や友達と遊んだ時間が最高だった」と感じることがあります。
でも実際は、部活でレギュラー争いに悩んだり、勉強に追われたりして、日々は必ずしも楽しいことばかりではありませんでした。
それでも今振り返ると、悩み苦しんだ部分は薄れ、充実していた瞬間だけが鮮やかに残っているのです。
人は「記憶の編集者」として、自分の過去をポジティブに再構築しているのだと思います。
思い出を美化することの意味
思い出の美化は、単なる錯覚ではありません。
それは「今を生きる力」にもつながっています。
「あの頃も楽しかった、だからこれからもきっと大丈夫」と、自分の人生に肯定感を持つための仕組みなのです。
まとめ
人が思い出を美化するのは、過去を安心できるものとして捉え、人生を肯定的に生きるための自然な働きです。
過去の思い出を大切にしながらも、「今」という時間が未来にとっての“美しい思い出”になるよう、日々を積み重ねていきたいですね。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉