── 期待値と幸福
最近、
「期待していなかったものの方が、嬉しいな」
と思うことがあります。
あまり期待していなかった映画が、
思った以上に面白かった。
たまたま入ったお店が、
すごく良かった。
なんとなく買ったものが、
思いのほか気に入った。
あるいは、
特に期待していなかった人から、
思いがけず褒めてもらった。
そういう時って、
妙に嬉しい。
「嬉しい」は、結果だけで決まらない
例えば、
「絶対に面白い」
と期待していた映画を観て、
実際に面白かった。
もちろん嬉しい。
でも、
「正直、あまり期待していなかった」
映画が、
想像以上に面白かった時。
こちらの方が、
「めちゃくちゃ良かった!」
という感覚が強かったりします。
同じ「面白い映画」なのに、
なぜか感動の大きさが違う。
それは、
結果そのものだけではなく、期待していたものとの差
があるからなのかもしれません。
期待値が高いほど、喜びのハードルも上がる
例えば、
「日本一美味しいラーメン屋」
と紹介されたお店に行く。
当然、
ものすごく期待します。
そして、
実際に美味しかったとしても、
「まあ、こんなものか」
と思ってしまうことがあります。
一方で、
たまたま入った小さなお店で、
「ここ、めちゃくちゃ美味しいな」
と思った時。
その嬉しさは、
かなり大きい。
冷静に考えれば、
料理の美味しさそのものは、
そこまで変わらないかもしれません。
でも、
自分の中にあった期待値が低かった分、
「想像を超えた」
という体験になる。
だから、期待しすぎると疲れる
これは、
日常生活でも同じなのだと思います。
旅行に行く。
ホテルを予約する。
レストランを選ぶ。
映画を見る。
誰かと会う。
最近は、
事前にいくらでも情報を集められます。
レビューを読む。
写真を見る。
ランキングを見る。
SNSで評判を調べる。
「ここは絶対に良い」
という状態を作ってから、
体験する。
もちろん、
失敗を減らすという意味では、
とても便利です。
でも、
その分だけ、
期待値も上がります。
「ここは絶対に美味しい」
「このホテルは最高」
「この映画は絶対に面白い」
そう思って行った結果、
80点くらいだった。
悪くはない。
むしろ十分良い。
でも、
期待していた100点には届かなかった。
すると、
「思ったほどではなかった」
と感じてしまう。
一方で、
50点くらいを想定していたものが、
80点だったら、
「めちゃくちゃ良かった」
となる。
同じ80点なのに、
感じ方が全然違います。
幸福は「期待との差」なのかもしれない
もちろん、
人生の幸福を単純な数字で表すことはできません。
でも、
「実際に得たもの」だけではなく、
「期待していたものと、実際に得たものの差」
も、
幸福感に影響している気がします。
期待していたものを、
そのまま受け取る。
それも幸せ。
でも、
期待していなかったものから、
思いがけないものを受け取る。
そこには、
「こんなものがあったんだ」
という発見があります。
そして、
人間はこの「発見」に、
かなり弱いのではないでしょうか。
「思っていたより良かった」は、強い
考えてみると、
私たちが日常で使う言葉にも、
その感覚が表れています。
「思ったより良かった」
「意外と美味しかった」
「意外と面白かった」
「思っていた人と違った」
「こんなに良いとは思わなかった」
どれも、
「期待を超えた」
という言葉です。
逆に、
「思っていたより悪かった」
という時には、
かなりガッカリします。
つまり、
私たちは、
結果そのものだけではなく、
「予想していた未来とのズレ」
を感じながら、
日々の出来事を評価しているのかもしれません。
期待しないことは、諦めることではない
だからといって、
「何も期待しない方がいい」
という話ではありません。
期待することは、
楽しみを作ることでもあります。
旅行を楽しみにする。
欲しかったものを待つ。
好きな人に会うのを楽しみにする。
そういう「期待」は、
人生を楽しくしてくれます。
ただ、
期待しすぎない。
というのは、
意外と大切なのかもしれません。
「絶対に最高なはず」
ではなく、
「良かったら嬉しいな」
くらい。
「絶対に成功させる」
ではなく、
「できることをやってみよう」
くらい。
少しだけ、
余白を残しておく。
期待していないところに、幸せが転がっている
そして、
期待していなかったものが、
思いがけず良かった時。
そこには、
自分で計画して作った幸せとは、
少し違う種類の喜びがあります。
知らなかった店。
知らなかった音楽。
たまたま見つけた景色。
偶然出会った人。
予定していなかった出来事。
人生には、
こういう「予定外」が、
意外とたくさんあります。
最近は、
何をするにも、
事前に調べることができます。
失敗しないために、
口コミを見る。
評価を見る。
ランキングを見る。
おすすめを調べる。
もちろん便利です。
でも、
全部を先回りして知ってしまうと、
「知らなかったからこその喜び」
が少し減ってしまう気もします。
だから、
たまには、
あえて調べすぎない。
期待しすぎない。
なんとなく選んでみる。
行ったことのない場所に行ってみる。
そうすると、
「こんなに良いとは思わなかった」
という瞬間に、
出会えるかもしれません。
人生の幸せって、
もしかすると、
自分が欲しいと思っていたものを手に入れることだけではなく、
「期待していなかったものが、自分の想像を超えてくること」
なのかもしれません。
だから、
少しだけ期待値を下げて、
その分、
目の前にあるものを楽しんでみる。
「どうせ大したことないだろう」
ではなく、
「良かったらラッキー」
くらいの気持ちで。
そのくらいの方が、
日常の中に転がっている小さな幸せを、
見つけやすいのかもしれません。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉