── 大人の遊び
大人になると、
何かをするときに、
「それ、何のためにやるの?」
と聞かれることが増えた気がします。
旅行に行くなら、
「何を見に行くの?」
趣味なら、
「それをやって何になるの?」
買い物なら、
「本当に必要なの?」
仕事なら、
「それは何の意味があるの?」
もちろん、
目的を持つことは大切です。
仕事では、
特にそうですよね。
でも、
人生のすべてに、
ちゃんとした理由が必要なのでしょうか。
「なんとなくやりたい」は、意外と大事
例えば、
少し遠くの街まで行ってみる。
特に目的はないけれど、
なんとなく行ってみたい。
家具屋さんに行って、
何も買わずに家具を眺める。
好きな時計を、
意味もなく眺める。
絵を描いてみる。
ゲームをする。
散歩する。
映画を見る。
こういうことって、
「何のために?」
と聞かれると、
意外と答えられません。
「いや、なんとなく……」
くらいしか言えない。
でも、
それでいいのだと思います。
子供の頃は、理由なんて考えなかった
子供の頃を思い出してみると、
もっと自由だった気がします。
公園に行く。
虫を捕まえる。
ゲームをする。
意味もなく自転車で遠くまで行く。
何時間も絵を描く。
「これをやったら将来役に立つかな?」
なんて、
ほとんど考えていません。
ただ、
「面白そうだから」
「やってみたいから」
という理由だけで動いていた。
大人になるにつれて、
いつの間にか、
そういう行動が減っていきます。
大人は、時間に理由を求めすぎる
大人になると、
時間が有限だということを、
強く意識するようになります。
仕事をする。
勉強する。
運動する。
家事をする。
将来のためにお金を貯める。
自己投資をする。
どれも、
もちろん大切です。
でも、
そうやって一日を埋め尽くしていくと、
「何の役にも立たない時間」が、
だんだん怖くなってきます。
スマホを見ているだけで、
「時間を無駄にしている」
と思ったりする。
趣味をしていても、
「もっと有意義なことをした方がいいのでは?」
と思ったりする。
でも、人生は効率化するものでもない
仕事では、
効率化が大切です。
同じ成果なら、
より短い時間でできた方がいい。
でも、
人生まで同じ考え方をすると、
少し窮屈になります。
例えば、
旅行で目的地まで最短距離で行くことと、
途中で気になった店に入ってみること。
どちらが効率的かと言えば、
当然前者です。
でも、
後者でしか見つからないものもあります。
たまたま入った店が、
すごく好きになる。
予定になかった場所が、
一番思い出に残る。
そういう、
「無駄」に見える時間があります。
「なんとなく」が、感性を育てることもある
特に、
何かを作る仕事をしていると、
このことを感じます。
デザインでも、
「なぜかこの形が気になる」
「なんとなくこの色が好き」
という感覚が、
後から仕事につながることがあります。
その瞬間には、
何の役に立つか分からない。
でも、
好きで眺めていたもの。
なんとなく触れていたもの。
意味もなく集めていたもの。
そういうものが、
少しずつ自分の中に蓄積されていく。
だから、
「役に立つかどうか」
だけで、
行動を決めてしまうのは、
少しもったいない気がします。
大人には「遊び」が必要なのかもしれない
遊びというと、
何か特別なことをするイメージがあります。
でも、
もっと小さくていい。
予定のない日に、
ちょっと遠くまで行ってみる。
気になっていた店に入ってみる。
好きなものを眺める。
意味もなく散歩する。
家でコーヒーを淹れる。
昔好きだったゲームをやってみる。
誰かと、
どうでもいい話をする。
こういう、
「別に何の意味もないこと」
が、
意外と人生を豊かにしてくれます。
もちろん、
何でも「なんとなく」でいいわけではありません。
仕事には責任がありますし、
お金や時間にも限りがあります。
将来のことを考えることも大切です。
ただ、
すべてに理由を求めなくてもいい。
ということです。
「なんでそれをやるの?」
と聞かれて、
「なんとなくやりたいから」
と答える。
それくらいの余白があっても、
いいのではないでしょうか。
大人になると、
「正しい選択」をすることに、
慣れていきます。
損をしないように。
失敗しないように。
将来困らないように。
時間を無駄にしないように。
でも、
人生を振り返ったときに、
思い出に残っているのは、
必ずしも、
「一番効率的だった時間」
ではないのかもしれません。
何となく行った場所。
何となく始めた趣味。
何となく買ったもの。
何となく過ごした休日。
そういう、
理由のない時間だったりします。
だから、
たまには、
ちゃんとした理由がなくてもいい。
役に立たなくてもいい。
意味がなくてもいい。
「なんとなくやりたい」
という気持ちを、
大人になってからも、
ちゃんと大切にしていたいと思います。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉