はじめに
家族や友人、恋人、職場の同僚や上司──日常には、“誰かに意見を伝える”という瞬間がたくさんあります。
たとえば、パートナーに「飲み終わったペットボトルは、ラベルを剥がしてここに置いてほしい」と伝えたいとき。
言い方ひとつで、空気がピリついたり、逆にやわらかく伝わったりしますよね。
自分にとってはちょっとしたことでも、相手にとっては不意打ちのように感じることもある。
実際、家族との言い合いであったり、上司への不満などは、内容そのものよりも、些細な伝えた方が原因になっている場合も多いです。
だからこそ、「どう言うか」がとても大事です。
今日は、“優しさと思いやりをもって意見を伝える”ためのコツをいくつかご紹介します。
1. まずは「譲歩」から
相手に何かをお願いしたり、改善してほしいことを伝えるときに、まず心がけたいのは“譲歩”を含めることです。
たとえば、先ほどのペットボトルの件なら…
> 「ラベルを剥がすのって、正直めんどうだよね。疲れて帰ってきた時なんか、なおさら…。
でも、できれば私も協力するから、ちょっとだけ気にしてくれたら嬉しいな」
このように、相手の立場や状況に寄り添ったひと言を加えることで、防御反応を和らげ、前向きな気持ちで話を聞いてもらえるようになります。
職場でも同じです。
たとえば企画の提案に対して意見をするときは、いきなり改善点を指摘するのではなく、まずは良い点をしっかり伝える。
> 「この企画、方向性はすごく良いと思う!君らしさが出てるし、コンセプトの立て方も面白い。
その上で、もう少し具体的な数値とか、コスト面を詰めていけたら、もっと説得力が出ると思うよ」
このように、「良いと思っている」という気持ちを明確に伝えた上で建設的な意見を重ねると、相手も「自分のことを理解してくれている」と感じ、素直に受け入れやすくなります。
ポイントは、「ちょっとオーバーかも?」と思うくらい譲歩を厚めにとること。
言葉のやさしさは、想像よりも多めに用意してちょうどいいのかもしれません。
2. 優しい“ワードチョイス”
意見を伝える時、言っている内容と同じくらい大切なのが“言葉の選び方”。
語尾のトーンや、使う単語によって、相手が感じる印象は大きく変わります。
たとえば…
「〜して」ではなく「〜してくれたら嬉しいな」
「これ間違ってるよ」ではなく「ここ、ちょっと違うかも?一緒に確認してみようか」
「なんでできないの?」ではなく「これ、できたらもっと良くなるよね!」
こうした言い回しは一見まわりくどく感じるかもしれませんが、実は、**相手との関係性をより良く保つ“潤滑油”**のような役割を果たしてくれます。
特に家族や近しい人には、つい言葉を省略しがちです。でも、だからこそ**「思いやりある言葉」を意識的に選ぶこと**が、長く心地よい関係を築く鍵になるのではないでしょうか。
3. 攻撃性を、徹底的に排除する
意見を伝える、という行為自体が、「相手の欠点や改善点を指摘する」ことに繋がる場合が多いです。
こちらがどんなに冷静に話していても、相手が「責められている」と感じてしまうことはあります。
とくに、親子や上司・部下など、上下関係があるシーンでは、想像以上にその言葉が強く響いてしまうことも。
だからこそ、意識的に「攻撃性を排除する」ことが大切です。
「ここがダメだったよ」ではなく、
「ここ、どう思った?もっと良くできるかもって感じたんだけど、どうかな?」
「これ、直して」ではなく、
「ここ、少し違ってるかもしれないけど、一緒に考えてみようか」
こうした言葉を選ぶことで、「否定」ではなく「共に考える」という姿勢が伝わります。
相手が大切な存在であればあるほど、「意見を伝えること」は“相手との関係性を育てる時間”に変えていきたいですね。
意見とは、思いやりのかたち
意見を伝えることは、時に勇気がいるし、難しいものです。
でも、「伝えたい」と思うのは、相手のことを大切に思っているから。
だからこそ、伝え方にはその気持ちを乗せていきたい。
-譲歩を挟んで、相手の立場に寄り添う
-優しい言葉を選び、感情を一呼吸おく
-攻撃性を徹底的に取り除き、対話を育てる
これらを意識するだけで、たった一言が、やわらかく、あたたかいものに変わっていきます。
人間関係は、日々の会話の積み重ね。
伝える言葉ひとつで、世界の見え方が少し変わるかもしれません。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉