── ファッションにおける「ドレスとカジュアル」の不思議な関係
「あの人は、何を着ても似合う」
身近にいるイケメンや美人を見て、
「あの人、何を着ても似合うよな」と感じたことはありませんか?
同じ服を着てみても、なんだか“自分ではしっくりこない”。
そんな経験、誰にでもあると思います。
ファッションは、本来「自分を表現するためのもの」。
それでも私たちは、他人の“似合っている姿”を目の当たりにした瞬間、
どこかで“顔の美しさ”がすべてを支配しているように感じてしまうのです。
「顔がいい=ドレス要素を持っている」
ファッションには、よく言われる法則があります。
それは「ドレスとカジュアルのバランス」。
スーツのようにきちんとした服=ドレス、
パーカーやスニーカーなど=カジュアル。
この2つをバランスよく取り入れることで、
“おしゃれ”が生まれます。
では、顔はどちらに属するのか?
実は「顔が整っている=ドレス要素」なんです。
人はまず顔を見る。
顔が整っているだけで、清潔感や知的さ、品の良さが自然に伝わります。
つまり、顔そのものが“ドレス寄り”の要素を持っているため、
全身のコーディネートに“ドレス感”がプラスされる。
だからこそ、多少カジュアルに崩しても、全体が「まとまって見える」わけです。
体型も、もうひとつの“ドレス要素”
体型にも同じ理屈が働きます。
シルエットでいえば、
細身=ドレス
オーバーサイズ=カジュアル。
つまり、細くて背が高い人は、
その時点でドレス要素を持っている状態です。
だからこそ、ルーズな服を着ても“おしゃれに見える”。
逆に、少し体格ががっしりしている人は、
ドレス要素が減るぶん、清潔感のある素材やきれいめの形でバランスを取る必要があります。
ファッションは、実はこうした“印象の足し算・引き算”の上に成り立っています。
レディースとメンズでは違うバランス
女性の場合、
「大人っぽい=きれい」
「子どもっぽい=かわいい」
という2軸で印象をデザインできます。
一方、男性の場合は、
「大人っぽい=かっこいい」
「子どもっぽい=ダサい」
と見られがち。
そのため、男性ファッションは“カジュアル過多”になると一気に崩れやすく、
ドレス要素をどう取り入れるかがセンスの分かれ道になります。
“顔がいい人”だけが似合うわけじゃない
ここまで話すと、「じゃあ結局、顔が良くないとダメなのか」と思うかもしれません。
でも実は、そうではありません。
顔がドレス寄りでないなら、
服でドレス要素を足せばいいのです。
シンプルにまとめる、サイズを整える、
清潔感を意識する──それだけで印象は変わります。
そして何より大切なのは、
“自分がどんな印象を与えたいか”を意識すること。
ファッションは、他人のためのものでもあり、
同時に“自分をどう見せたいか”という小さな表現でもあるのです。
印象をデザインする、ということ
“顔がいい”というのは、確かに一つのアドバンテージ。
けれど、ファッションの本質は“印象を設計すること”にあります。
ドレスとカジュアルのバランスを少し意識するだけで、人は誰でも「似合う」を作り出せる。
つまり、センスとは、生まれ持った顔立ちよりも、
「自分をどう見せたいか」を考える力なのかもしれません。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉