・はじめに
ちょっとした雑談や相談のつもりで話し始めたのに、気づけば相手がやたらとアドバイスをしてくる。
そんな経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
相手には悪気がないのかもしれませんが、こちらとしては「そういうことじゃないんだけどな」と、モヤモヤしてしまうことも多いものです。
今回は、なぜ人はアドバイスしたがるのか、そしてどう付き合っていくかについて考えていきます。
・求めてない
ほとんどの人は、実はアドバイスなんて求めていません。
特に上下関係がない間柄で、こちらが相談をしているわけでもないのに、当然のようにアドバイスをされると、「それ、頼んでないけど…」と心の中でつぶやきたくなります。
上司や先生のように、教えることが前提になっている関係ならまだしも、友人や同僚などのフラットな関係で“上から目線”でアドバイスをされると、気分が下がってしまうこともあります。
多くの場合、人は「共感」や「受け止め」を求めて話しているのであって、「正解」を求めているわけではないのです。
・当事者はあなたの100倍考えてる
アドバイスをする人がよく忘れがちなのが、「当事者は、すでに散々考え抜いた結果として今に至っている」ということ。
外から見れば「もっとこうすればいいのに」と思えることでも、当事者にとってはすでに試していたり、すでにその選択肢を捨てた理由があったりする。
たった今数分聞いただけの相手が出すアイデアに、「それ、一度考えたよ」という感想を抱いたことがある人も多いはず。
表面上の問題に口を出す前に、「この人はどれだけの時間、悩んできたのか」という背景に想像力を持てるかどうかが、信頼関係を築けるかどうかの分かれ目でもあります。
・自分が上だと思っている
アドバイスをしてくる人の中には、無意識に「自分の方が上」というマインドが潜んでいます。
相手の話を聞くというよりも、「自分の考えを伝えたい」「正してあげたい」という気持ちが先に立ってしまうのです。
でも冷静に考えれば、アドバイスを押しつけてくる時点で、相手の感情や状況に寄り添えていない証拠。
優秀かどうか以前に、“相手に対する思いやり”が欠けている行動だということを忘れてはいけません。
・支配欲がある
アドバイスという形をとってはいても、実際には「こうした方がいい」という自分の価値観を押しつけて、相手の選択や行動をコントロールしたいという心理が働いていることもあります。
これは一種の「支配欲」。
自分の意見を通したい、正しいと思ってもらいたいという欲求が根っこにあるのです。
しかし、他人は自分の思い通りになりません。
人の心や行動を完全にコントロールすることはできないし、するべきでもありません。
相手の人生は、相手が責任を持って選ぶもの。
自分の考えを一歩引いて見守る余裕も、時には大切です。
・距離を取ろう
こうした“アドバイスしたがり”の人たちは、たいていの場合、自覚がありません。
そしておそらく、あなた以外の人にも同じように接しているはずです。
あまりにしんどいと感じるなら、そっと距離を取るのもひとつの手。
無理に対話を重ねたり、わかってもらおうとしなくてもいいのです。
人間関係は「対等」であるべき。あなたを思いやれない人からは、少し距離を置いて、自分を守ることも立派な自己防衛です。
・まとめ
アドバイスという行為は、時に善意の仮面をかぶった押しつけになり得ます。
本当に人のためになりたいなら、まずは“聞くこと”から始めるべき。
そして、求められたときにだけ、静かにそっと手渡すように言葉を選ぶ。
そういう人こそ、信頼される存在になれるのだと思います。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉