美しさは、配慮から生まれる──ジュエリーとプロダクトデザインの思想

美しさは、配慮から生まれる──ジュエリーとプロダクトデザインの思想

 

“使いやすさ”が、美しさを導くことがある

 

「このデザイン、なんでこんなに美しいんだろう?」

ふとした瞬間、私たちはプロダクトに対してそんな感覚を抱くことがあります。


でも、それは単に“見た目”が整っているから、だけではないのかもしれません。


その形は、もしかすると──

「どうすれば、もっと使いやすくなるだろう?」

「どうすれば、手にした人の負担を減らせるだろう?」

そんな問いから生まれたものかもしれません。


たとえば、AppleのiPodやDysonのドライヤー。

誰もが“美しい”と感じるそのデザインは、じつは“誰かを想う工夫”から始まっています。


「ユーザーへの配慮を追求した結果、外観も美しくなること」

これが筆者の考える工業デザインの本質です。

 

「使いやすさ」と「美しさ」。

このふたつは、ときに矛盾するようでいて、本質的には同じ方向を向いている──

そんな考え方を、SOWNのジュエリーにも重ねてみたいと思います。

 


 

|Apple / iPod ──ホイールが導いた新しい操作体験

 

2000年代初頭。何万もの楽曲を一台の端末に収められるiPodが登場しました。

それは革新的でしたが、同時に新たな課題も生みました。

「数万曲から、1曲をどうやって素早く見つけるか?」


Appleが出した答えは、“感覚的に回す”という体験。

そうして誕生したのが、タッチホイールです。


指を滑らせるだけでリストを移動できるこのインターフェースは、

直感的でありながら、どこか気持ちいい──


そしてその機構は、結果として「四角い画面+正円ホイール」というミニマルで象徴的な外観を生み出しました。

ユーザーの動作に寄り添った結果、デザインも美しくなったのです。

 

140912clickwheel2.jpg

-iPod 第一世代

 

 

|Dyson / Supersonic ── 重さを“感じさせない”設計

 

ドライヤーの性能を上げようとすると、どうしてもモーターが大型化し、重量が増してしまう。


従来ならその分、手に負担がかかってしまうはず。

けれどDysonは「持ち手にモーターを内蔵する」という逆転の発想で重心を下に移動させました。


これにより、同じ重さでも軽く感じる構造に──

さらにその構造は、従来のドライヤーにはない、空洞のような独特のフォルムを実現します。


「高性能なのに軽やか」

「技術の結晶なのに美しい」


この相反する価値を共存させたデザインもまた、“使う人”を見つめた結果でした。

 

Dyson Supersonic Ionic ヘアドライヤー (アイアン/フューシャ) HD08-ULF-IIF-N

-Dyson Supersonic

 

 

|SOWNのピアス──“着け心地”から導いたカタチ

 

SOWNでは、ファーストコレクションとして、ピアスのデザインを考えました。


ピアスは、金属の使用量が増えたり、サイズが大ぶりになるほど重くなっていきます。

夕方になると、耳たぶに違和感や疲れを感じる人も少なくありません。


そこでSOWNがたどり着いたのは──

「中心部分に、空洞をつくる」という発想でした。


この構造により、金属の質感とサイズ感を保ちつつ、重量は抑えられます。

そしてその“抜け”が、造形としても他にはない美しさを生み出しました。


つまりこのピアスのかたちは、「楽に身につけられるように」という想いから始まったもの。

それは、AppleやDysonにも通じる、“ユーザー配慮から生まれる美しさ”の思想です。

 

 

 

|プロダクトデザインの視点で、ジュエリーを見つめる

 

ジュエリーは、ただ美しさを纏うものではありません。


長時間、肌に触れるものだからこそ、

「心地よさ」や「違和感のなさ」はとても大切な要素です。


それは、工業製品を設計するのと同じ視点でもあります。

“どうすれば、この人の1日が少しでも快適になるか”

“どうすれば、自然に自信が持てるか”


SOWNのデザインには、筆者がプロダクトデザインを学んできた視点、

そして、使う人への静かな想像力が込められています。


"SOWNのプロダクトはこちら"

 

 

 

|“誰かを思う”ことが、すべてのはじまり

 

優れたデザインの源には、いつも「誰か」の存在があります。

それは、まだ出会ったことのないユーザーかもしれないし、

目の前で、ほんの少しの不便に眉をひそめた誰かかもしれません。


誰かの暮らしを心地よくすること。

誰かの気持ちに寄り添うこと。

誰かの「これが欲しかった」を、形にすること。


──その“思い”の積み重ねが、結果として美しさを生み出す。

見た目の造形は、その副産物なのかもしれません。


SOWNのジュエリーもまた、「誰かの感性にやさしく寄り添うこと」から始まります。

つけていて疲れないように。毎日つけたくなるように。

そして、ふとした瞬間に、「これ、好きだな」と心がふわりと動くように。


“使いやすさ”と“美しさ”のその先にある、“感性に届く何か”。

そんな存在を目指して、SOWNはデザインをしています。

 

 

 

 

それではまた明日──

 

SOWN 代表

片倉

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