名前は、最初のデザイン
ブランドでも、作品でも、人の名前でも——。
名前は、その存在の“最初のデザイン”です。
たとえ形を持たないものでも、言葉がついた瞬間に輪郭が生まれ、
そこに「印象」という感情の層が重なります。
私たちは無意識のうちに、音の響きや文字の並び、
言葉の温度から“印象”を受け取っています。
たとえば、「A」や「O」のような母音はやわらかく、
「K」や「T」は鋭さを感じさせる。
名前は、音のデザインでもあるのです。
名前がつくことで、世界が輪郭を持つ
名づけとは、“世界に意味を与える行為”でもあります。
たとえば、夜空の星座。
無数の星に線を引き、「オリオン」と名づけることで、
ただの点の集まりに“物語”が生まれる。
同じように、ブランドやプロダクトに名前がつくとき、
そこには“この世界をどう見てほしいか”という意図が込められています。
だからこそ、名前を決めるというのは、
単なるマーケティングではなく、感性の翻訳なのです。
響きが生み出す感情
言葉には、音の“手触り”があります。
短くて軽やかな響きは、親しみを感じさせる。
長く伸びる音は、余韻や品格を感じさせる。
たとえば「SOWN」という名前も、
“sound(音)”と“own(私)”の二重の意味を重ね、
私自身の音を大切にしていくという願いが込められています。
このように、名前は意味と響きの両面から、感情をデザインすることができます。
名前に、感性を宿す
良い名前とは、単に覚えやすいだけではありません。
その音やリズムの中に、ブランドの“呼吸”が感じられるものです。
「言葉」は、形がなくても、触れた人の心に“音の残響”を残します。
それは、どんなビジュアルよりも長く記憶に残ることがあります。
名づけること——それは、
感性を言葉に変える、もっとも繊細で創造的なデザイン。
あなたが今日、何かに名前をつけるとき、
その響きの中に、どんな想いを込めますか?
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉