「余計な一言」が、その人を好きにさせる

「余計な一言」が、その人を好きにさせる


── 人は、合理性だけでは惹かれない

仕事でも、日常でも、

「余計な一言」を言ってくれる人がいます。

例えば、

お店に入った時に、

「今日は暑いですね」

と声をかけてくれる店員さん。

仕事のメールで、

「お忙しいところ、すみません」

と一言添えてくれる人。

久しぶりに会った友人が、

「最近どう?元気だった?」

と聞いてくれる。

どれも、

なくても成立する言葉です。

「なくてもいい言葉」が、なぜか嬉しい

 

例えば、

「資料を確認してください」

というメール。

用件としては、

これで十分です。

でも、

「お忙しいところすみません。お手すきの際にご確認いただけると助かります」

と書いてあると、

少し印象が違います。

もちろん、

丁寧な文章だから好印象、

というだけではありません。

その文章の向こう側に、

「相手も忙しいだろうな」

と考えている人が見える。

そこに、

人間らしさがあります。

完璧なサービスより、ちょっとした一言

 

接客でも、

マニュアル通りに完璧な対応をされるより、

ふとした一言の方が、

記憶に残ることがあります。

「今日は暑いですね」

「この時間、少し混んでますね」

「お気をつけてお帰りください」

そんな、

別に言わなくてもいい一言。

でも、

そういう言葉をもらうと、

「なんか、この人感じいいな」

と思う。

サービスの質が、

劇的に変わったわけではありません。

ただ、

人と人とのやり取りになった。

それだけなのかもしれません。

合理的に考えれば、必要ない

 

今は、

「効率」がとても重視される時代です。

メールは短く。

会議は短く。

仕事は効率よく。

コミュニケーションも、

結論から。

確かに、

それは大切です。

仕事において、

無駄をなくすことは、

生産性を上げることにつながります。

でも、

人間関係まで、

全部を合理的にしてしまうと、

少し寂しい。

例えば、

「ありがとう」

だけでもいいところを、

「助かりました、ありがとうございます」

と言う。

「了解です」

だけでもいいところを、

「ありがとうございます、助かります」

と返す。

「またね」

だけでもいいところを、

「今日は楽しかった。また行きましょう」

と言う。

こういう一言は、

何かを生み出しているわけではありません。

時間も、

ほんの数秒しか変わらない。

でも、

その数秒が、

相手の気持ちを少し変えることがあります。

人は「情報」だけを受け取っているわけではない

 

考えてみると、

会話やメールで、

私たちが受け取っているのは、

言葉の意味だけではありません。

声のトーン。

表情。

間。

言葉遣い。

ちょっとした気遣い。

そういうものを含めて、

「この人は自分をどう思っているのか」

を感じ取っています。

だから、

同じ内容を伝えていても、

誰が言うかによって、

印象が全然違う。

「了解しました」

という一言でも、

冷たく感じる人もいれば、

安心する人もいる。

言葉そのものより、

その後ろにいる人間を感じているのかもしれません。

「余計な一言」は、その人の人柄が出る

 

だから、

私は「余計な一言」が、

結構好きです。

その人が、

何を考えているのかが、

少し見えるからです。

仕事の話だけをしているのに、

「最近忙しそうですね」

と言ってくれる。

何かを頼んだ時に、

「無理しないでくださいね」

と言ってくれる。

帰り際に、

「今日はありがとうございました」

だけではなく、

「また一緒に仕事したいですね」

と言ってくれる。

そういう言葉は、

その人の人柄そのものです。

もちろん、言いすぎは逆効果

 

ただ、

「余計な一言なら何でもいい」

というわけではありません。

余計なことを言いすぎると、

逆に面倒くさい人になります。

相手が求めていないアドバイス。

必要以上の質問。

聞かれていない自慢。

そういうものも、

「余計な一言」です。

だから、

大事なのは、

「何を足すか」ではなく、「何なら足してもいいか」

なのだと思います。

仕事でも、

デザインでも、

同じことが言える気がします。

機能だけを考えれば、

必要最低限でいい。

でも、

ほんの少しだけ、

「なくても困らないもの」を加える。

触った時の感触。

ボタンを押した時の気持ちよさ。

ちょっとしたディテール。

眺めた時の美しさ。

それが、

「なんか好き」

につながることがあります。

人間も、

プロダクトも、

もしかすると同じなのかもしれません。

必要なものだけで構成されているものは、

合理的です。

でも、

人の心を動かすものには、

少しだけ、

「なくてもいいもの」が入っている。

それが、

遊びだったり、

余白だったり、

人間味だったりする。

だから、

たまには余計な一言を言ってみる。

「今日は暑いですね」

「お忙しいところ、すみません」

「また一緒に行きましょう」

「今日は楽しかったです」

別に、

言わなくてもいい。

でも、

言った方が、

少しだけ温かくなる。

そんな言葉が、

人と人との間には、

必要なのかもしれません。


人は、合理的だから好きになるのではなく、

その人にしかない「余計な部分」に惹かれるのかもしれません。






それではまた明日──


SOWN 代表

片倉

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