── それは、悪いことではないのかもしれない
最近、
「人生の目的って何だろう」
と思うことがある。
昔は、
そんなことを考える必要もなかった。
受験があって、
大学に入って、
就職して、
仕事を覚えて。
次はこれ。
その次はこれ。
目の前に、
なんとなく進む方向があった。
もちろん、
その時その時で悩みはあった。
でも、
「次に何をすればいいのか分からない」
という悩みは、
今ほどなかった気がする。
ところが、
30代になってから、
少しずつ変わってきた。
仕事もある程度できるようになった。
昔欲しかったものも、
少しずつ手に入った。
「いつかこうなりたい」
と思っていたことが、
いくつか実現している。
それは嬉しいことなのだけれど、
その先に、
何があるのか分からない。
ふと、
「で、次は何を目指せばいいんだろう」
と思う。
昔は、目的が勝手に用意されていた
学生の頃は、
目的が分かりやすかった。
良い大学に入る。
就職する。
仕事ができるようになる。
その先にも、
昇進する。
給料を上げる。
家を買う。
結婚する。
もちろん、
人生はそんなに単純ではない。
でも、
世の中には
「次はこれを目指すものですよ」
という階段が、
ある程度用意されていた。
だから、
そこを登っていけばよかった。
でも、
ある程度大人になると、
その階段が急に見えなくなる。
「次は何?」
と聞かれても、
昔ほど簡単には答えられない。
何かが欲しいわけでもない
もちろん、
欲しいものがないわけではない。
新しい服が欲しい日もある。
旅行に行きたい日もある。
美味しいものを食べたい日もある。
仕事だって、
もっと良くしたいと思う。
でも、
「これを手に入れれば人生が完成する」
みたいなものは、
あまり思いつかない。
昔は、
何かを手に入れるたびに、
次の目標ができた。
今は、
手に入れたものを、
どう楽しむかの方が気になる。
この違いは、
意外と大きい。
「目的がない=ダメ」だと思っていた
それでも、
目的がないと、
少し不安になる。
周りを見ると、
新しいことを始めている人がいる。
資格を取ったり、
起業したり、
新しい仕事に挑戦したり。
そんな人を見ると、
「自分も何か目標を持った方がいいのかな」
と思う。
何かに向かって進んでいないと、
止まっているような気がする。
でも、
本当にそうなのだろうか。
目的がないことと、
何もしていないことは、
同じではない。
「今日は何をしたい?」くらいでいい
例えば、
休日に予定がない。
朝起きて、
「今日は何をしようかな」
と考える。
散歩に行く。
ジムに行く。
本を読む。
料理をする。
映画を見る。
別に、
何かを達成する必要はない。
「この休日で成長しよう」
なんて考えなくてもいい。
ただ、
今日はこれがしたい。
それだけで、
一日を過ごしてもいい。
もしかすると、
人生も少し似ているのかもしれない。
「人生で何を成し遂げるのか」
という大きな目的がなくても、
「今日は何をしたいか」
は考えられる。
人生は、ずっと前に進まなくてもいい
「成長し続けなければいけない」
という考え方がある。
昨日より今日。
今日より明日。
少しでも前に進む。
もちろん、
それは大切なことだと思う。
でも、
人生の全部を
「前に進むこと」にしてしまうと、
少し疲れてしまう。
たまには、
同じ場所にいてもいい。
好きなものを繰り返してもいい。
去年と同じ店に行って、
同じ料理を食べてもいい。
昔好きだった映画を、
もう一度見てもいい。
何も更新されていないように見える一日にも、
ちゃんと価値がある。
目的地がなくても、歩ける
旅行に行くとき、
必ずしも目的地だけが楽しいわけではない。
途中の景色を見たり、
知らない店に入ったり、
予定になかった場所に寄ったりする。
目的地に着くことだけを考えていたら、
途中にあるものを見落としてしまう。
人生も、
少し似ているのかもしれない。
「どこに行くのか」
ばかり考えていると、
「今、どんな時間を過ごしているのか」
が見えなくなる。
もちろん、
大きな目標があるなら、
それを目指せばいい。
でも、
今の自分に、
どうしても目指したいものがないなら、
無理に作らなくてもいい。
目的がないことを、少し楽しんでみる
だから最近は、
「人生の目的がない」
と思ったときに、
少しだけ考え方を変えてみようと思っている。
目的がないなら、
今日は何をしよう。
何かやってみたいことはないか。
誰かに会いたくないか。
行ってみたい場所はないか。
食べたいものはないか。
作ってみたいものはないか。
そんな小さなことを考える。
人生の目的を探すのではなく、
今日の楽しみを探す。
それくらいで、
いいのかもしれない。
もしかすると、
「人生の目的がなくなった」のではなく、
「目的がなくても楽しめるところまで来た」
のかもしれない。
若い頃は、
どこかに向かっていないと不安だった。
でも今は、
目的地がなくても、
途中の景色を楽しめる。
そんなふうに、
人生の楽しみ方が変わってきただけなのかもしれない。
人生に、
いつも大きな目的がある必要はない。
「今日はちょっと楽しかった」
「この人と話せてよかった」
「これ、やってみてよかった」
そんな小さなものを、
一つずつ拾っていく。
それだけでも、
人生は意外と悪くない。
目的地がなくなったなら、
少し寄り道をしてみればいい。
案外、
その寄り道の方が、
長い人生では思い出に残るのかもしれない。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉