「人たらし」と聞くと、少しずる賢いような、軽やかな印象を持たれるかもしれません。
けれど本質は、“人と心地よい関係を築く力”のこと。
周囲に好かれる人には、特別なスキルよりも、日々のふるまいの中に光る感性があります。
今回は、人間関係を少しやさしくする5つの視点をお届けします。
1. 「なんでもいい」は無し —— ポジションを取る
「お昼、どうする?」
「なんでもいいよ」
このやりとり、きっと誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。
相手を思いやっているようでいて、実はこの返答には「自分は責任を持ちたくない」という逃げのマインドが隠れています。
「今日は、和食がいいな」
「〇〇ってお店、気になってて」
そんなふうに、自分の意見を少しだけ表に出す。
それは、相手に対する敬意でもあります。
ポジションを取るとは、自分の考えを持ち、それをやわらかく伝えるということ。
意見を持つことは、相手との間に対話を生み出す小さなきっかけにもなります。
沈黙や同調ではなく、自分の声をちゃんと持つこと。
それが、信頼をつくる第一歩になります。
2. 愚痴は空気を濁す──ネガティブを話題にしない
つい誰かのいないところで、その人について話してしまったり、
環境への不満をぽつりと漏らしたりしてしまうことって、ありませんか?
けれど、ネガティブな言葉は、聞いている相手にも、そして自分自身にもじわじわと曇りを残します。
人は、自分と似た周波数の人と響き合い、集まってくるものです。
自分のまわりにポジティブな空気をつくりたいなら、まずは自分がその源であること。
自分自身が幸せでいるために、ポジティブな言葉で、
空気を澄ませたいですね。
3. 「誰かを誘う」を習慣にする──企画者は私
いつも誰かに誘われるのを待っていませんか?
おでかけやごはん、ちょっとした集まりも、自分から声をかけてみると、世界の見え方が少し変わります。
「行く?」「どうする?」と受け身でいるよりも、「ここに行かない?」と一歩踏み出す。
たとえ断られても、それは行動した証。
企画者になるというのは、誰かのために場をつくること。そして自分のために、世界を開くことでもあります。
人と人の間にある“余白”を、あなたから埋めていく。その柔らかな力を信じてみてください。
その積み重ねが、「あなたと一緒にいると楽しい」と思ってもらえる人へと、あなたを育ててくれます。
4. 対面よりも、横並び──「共感」が育つ距離感
もし、大切な人とじっくり話したいなら、向かい合うのではなく、横に並んでみてください。
カウンター席やソファ席、車の助手席、並んで歩く時間など、
「同じ方向を見ている」状況では、心が自然とひらきやすくなります。
人は、正面から向き合うと“評価”のスイッチが入りやすく、
横並びだと“共感”の回路が開きやすいと言われます。
向かい合って問い詰めるよりも、隣で見守るように話す。
人と親しくなるには、距離だけでなく「角度」も大切なのかもしれません。
5. 相手の“誇り”を見つける──褒め方のセンス
誰かを褒めたいとき、あなたはどこに目を向けますか?
・センスや才能のような“結果”を褒める人
・努力やプロセスといった“過程”を見つける人
・価値観や姿勢といった“マインド”に焦点を当てる人
人それぞれ、“褒められて嬉しいポイント”は違います。
相手がどこに誇りを持っているかを見極めて、その芯をくすぐるように褒めること。
それは、ただの「おだて」ではなく、相手の内側と響き合う、真摯なまなざし。
本当に褒め上手な人は、「私だったら嬉しい」ではなく、「あなたにとって嬉しいこと」を考えられる人。
その繊細さが、信頼を生み出してくれます。
おわりに:人と人とのあいだに、風通しを
気の合う人とだけ仲良くするのは簡単です。
けれど、「この人と話すと、気持ちが楽になる」と思ってもらえるような存在には、努力と感性の両方が必要です。
人間関係は、正解のない小さな選択の連続。
だからこそ、自分のふるまいひとつで、誰かの日常を少し明るくできるかもしれません。
人たらしとは、思いやりをにじませながら、自分の存在をさりげなく差し出せる人。
そんなふうに、静かに信頼される人でありたいと思いませんか。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉