── 世界と距離を取るという選択
帰り道、
イヤホンを外したくない日があります。
特別に好きな曲を聴いているわけでもない。
ただ、音が流れていてほしい。
電車の音や、周囲の会話、
知らない誰かの生活音から、
少しだけ距離を取りたい。
そんな気分の日です。
イヤホンは、心の境界線
イヤホンをつけると、
世界とのあいだに、薄い膜が張られます。
完全に遮断するわけではないけれど、
無防備でもいなくていい。
誰かの視線や、街のスピードから、
一歩引いた場所に立てる感覚。
それは、逃げではなく、
自分を守るための境界線なのだと思います。
話しかけられない自由
イヤホンをしていると、
話しかけられにくくなります。
それは少し冷たい態度にも見えるけれど、
「今日は、ひとりでいたい」という
ささやかな意思表示でもあります。
常に人に開いていなくていい。
沈黙を選んでもいい。
帰り道くらい、
自分のための時間であっていいのです。
音楽は、気持ちを整理する場所
音楽を聴いていると、
頭の中が少し整います。
今日あったことを、
無理に意味づけしなくても、
感情だけが、ゆっくり落ち着いていく。
言葉にできない疲れも、
曲の中に預けてしまえばいい。
外したくなる日は、少し余裕がある日
不思議なことに、
イヤホンを外したくなる日もあります。
街の音が心地よく聞こえたり、
誰かの話し声に、少し安心したり。
そんな日は、
心にほんの少し余白がある日なのかもしれません。
距離を取ることは、悪いことじゃない
人と距離を取ることは、
冷たさでも、孤独でもありません。
それは、
自分の輪郭を保つための選択。
イヤホンを外したくない帰り道は、
「今日は、よく頑張った」というサインなのだと思います。
だからそのまま、
音に包まれて帰っていい。
また世界とつながりたくなったら、
そのとき外せばいいのです。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉