ある朝、ふと耳にした駅の発車メロディ。
あるいは、どこからか吹いてきた金木犀の香り。
一瞬にして、記憶の奥深くにしまいこんでいた“あの頃”が、ふわりと蘇る──そんな経験はありませんか?
音や香りは、言葉よりも先に、心の奥にふれることがあります。
今回は、なぜ私たちが「音」や「香り」に懐かしさを感じるのか、そしてそれが感性とどのようにつながっているのかを、やさしく紐解きたいと思います。
音や香りは、“感情のスイッチ”
五感の中でも、「聴覚」と「嗅覚」は、記憶や感情を司る脳の部分ととても近い関係にあるといわれています。
たとえば、ある曲を聴いたときに、その曲をよく聴いていた時期の風景や、当時の気持ちまで思い出すことがあるように──
音や香りは、単なる情報ではなく、私たちの“体験そのもの”と結びついているのです。
懐かしさとは、過去をただ思い出すだけでなく、「そのとき感じていた気持ち」が呼び起こされること。
だからこそ、音や香りは一瞬で、感情の深い層にアクセスすることができるのです。
「音」と「香り」がくれる、心の風景
懐かしさを感じる瞬間は、私たちにどんな影響を与えるのでしょうか。
それは、目には見えない“心の風景”をもう一度、思い出させてくれること。
たとえば、祖母の家で嗅いだ線香の匂い、放課後の教室で聞いた椅子を引く音、夏の夜の虫の声。
どれも、その瞬間の空気や気持ちと強く結びついていて、人生の記憶に静かに寄り添ってくれています。
日々忙しく過ごす中で、忘れかけていた「大切なもの」や「ほんとうの自分」に、そっと戻してくれる。
それが、音や香りの持つ、静かで力強い力なのかもしれません。
感性を育てる、“小さな懐かしさ”との出会い
懐かしさは、偶然やってくるものでもありますが、意識して感じることもできます。
たとえば、
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昔よく聴いていた音楽を、あえて休日の朝に流してみる
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実家にあったような香りの入浴剤を選んでみる
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子どものころ通っていた道を、散歩してみる
そんな小さな工夫で、記憶と感情にふれる時間を自分に贈ることができるのです。
懐かしさの中には、私たちの“感性の原風景”がひそんでいます。
その原風景と再会することは、自分らしさを再確認する優しい旅でもあるのです。
SOWNのジュエリーも、“音の記憶”から
SOWNのジュエリーは、「音」から着想を得てデザインされています。
自然の音、都市の音、海の生き物の声──目には見えないけれど、私たちの心を震わせる音の記憶を、形にするという試みです。
なぜ音をモチーフにしているのか。
それは、音が“感情”や“記憶”にもっとも深く触れるものだから。
そして、ジュエリーという小さな存在が、日々の暮らしの中でそっと「感性のスイッチ」になってくれると信じているからです。
過去と未来をつなぐ、“感性の記憶”
音や香りにふれたとき、私たちはただ過去を懐かしむだけではありません。
その体験は、今この瞬間の自分を優しく包み、これからの自分の感性を育ててくれます。
懐かしさは、後ろを振り返るためだけのものではなく、
これから先を歩くための“心の羅針盤”なのかもしれません。
そんなふうに、“音”や“香り”にもう一度、意識を向けてみる。
それだけで、日常の風景が少しだけ、柔らかく変わっていくはずです。
あなたの1日に、ほんの少しの"ときめきを"──
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉