はじめに
最近感じるのですが、女性は30代以降になっても、友人とランチに行ったり旅行に行ったり、気軽に予定を合わせる人が多いように思います。
一方で、筆者のような男性は、男同士でランチに行くこともほとんどなくなり、旅行に出かけることもめっきり減りました。
20代の頃は「遊び=友達と過ごす時間」でした。夜中まで語り合ったり、急に誘われて旅行に行ったり、何かしらの集まりが日常にありました。
しかし、30代を過ぎた今では、気づけばそうした時間は少なくなり、連絡を取る相手の数も限られてきています。
なぜ、男性は大人になると友達が少なくなってしまうのでしょうか。
仕事が忙しいという現実
まず最も大きな理由は「仕事の忙しさ」です。
30代以降、男女ともに会社でも責任を担う立場になることが増え、後輩を育てたり、成果を出したりと、やるべきことが増えていきます。
気づけば平日は残業続きで、休日はその疲れを癒すだけで終わってしまうことも珍しくありません。
この状況では、友人と予定を合わせること自体が大きなエネルギーを必要とします。
「今度飲もう」と言いながら具体的な日程が決まらないまま立ち消えてしまう──そんな経験を、男性であれば誰しも持っているのではないでしょうか。
大人の男性にとって、友情の持続には「時間」だけでなく「余力」も必要であり、その余力を仕事が奪ってしまうのです。
ライフステージの変化が距離を生む
さらに大きいのは、ライフステージの変化です。
学生時代は同じような立場で過ごしていた友人たちも、大人になると住む場所、収入、結婚、子どもの有無など、環境が大きく異なっていきます。
こうした違いは、会話のズレや気持ちの温度差を生みます。
たとえば、子どもを持つ友人にとって最大の関心ごとは子育てですが、独身の友人からすればそこに深く共感するのは難しい。
また、趣味に全力を注いでいる人と、仕事を最優先にしている人では、互いの価値観があまりに違って、話が噛み合いにくいこともあります。
友情は「共通点」によって育まれる部分が大きいですが、大人になるとその共通点が減っていく。
それが、自然と友情を希薄にしてしまう原因のひとつなのでしょう。
自分の人生に夢中になる時期
もう一つ見逃せないのが、「自分の人生に夢中になる」という点です。
30代以降は、仕事の方向性や人生設計を真剣に考えざるを得ない時期です。
将来どんな暮らしをしたいか、どんな働き方を選ぶか、家族をどう守っていくか。
それぞれが「自分の人生の物語」に没頭していくのです。
そうなると、友達と気軽に集まることよりも、今の課題や未来への準備を優先するようになります。
友情は「余白」で育まれるものですが、大人になるほどその余白が少なくなっていく。
結果として、「友達と遊ぶ」という行動は後回しになりがちなのです。
なぜ女性は友人関係を保ちやすいのか
ここで興味深いのは、男性に比べて女性は大人になっても友人関係を維持しやすい点です。
その背景には「共感力」の違いがあると考えます。
男性の会話は「情報交換」や「問題解決」が中心になりやすく、共通の目的がなければ続きにくい傾向があります。
一方で、女性の会話は「感情の共有」そのものが目的であり、特別なテーマがなくても話が続きます。
ライフステージが違っても「わかるよ」「大変だね」と共感し合えることで、友情を保つことができるのです。
また、女性は「関係性そのもの」を重視します。
お茶をする、LINEで連絡を取る、ちょっとした贈り物をする──そうした小さな積み重ねが絆を強めるのです。
男性が「理由がないと会わない」傾向があるのに対し、女性は「理由がなくても会える」という違いが、友人関係の継続性を左右しているのでしょう。
少なくても、大切な友人がいればいい
とはいえ、男性にとって大切なのは「数」ではありません。
30代以降はむしろ、友達が少なくなっても「心から大事にしたい人」が残っていれば、それで十分なのです。
学生時代から苦楽を共にしてきた友人。
自分が落ち込んでいるときに支えてくれた友人。
言葉を多く交わさなくても、ただ一緒にいるだけで安心できる友人。
そうした存在は、年齢を重ねても色あせることはありません。
数が減った分だけ、その関係はより濃く、深くなっていくのではないでしょうか。
まとめ
男性は大人になると、仕事の忙しさやライフステージの違い、自分自身の人生への没頭によって、自然と友人が減っていきます。
しかし、それは決してネガティブなことではありません。
むしろ「数より質」へと移り変わる時期なのです。
大人の友情は、広さではなく深さ。
少なくても、本当に信頼できる友人がいれば、それは何よりの幸せであり、人生を豊かにしてくれる財産なのだと思います。
それではまた明日──
SOWN 代表
片倉